
~私たちの脳には「考え方のクセ」がある~
「バイアス」という言葉を聞くと、「悪いもの」「間違った考え方」と思われる方が多いかもしれません。
しかし、実際はそうではありません。
バイアスとは、一言で言えば「ものの見方や考え方の偏り(クセ)」です。
人間の脳は、一日に何万回もの判断をしています。そのたびに時間をかけて考えていては、生活が成り立ちません。
そこで脳は、過去の経験や知識をもとに「たぶんこうだろう」と素早く判断します。
この仕組みがあるからこそ、私たちは瞬時に行動できるのです。
つまり、バイアスは人が生きていくために必要な能力でもあります。
しかし、その判断がいつも正しいとは限りません。
例えば、
「今まで事故はなかったから今日も大丈夫だろう。」
「雨雲はあるけれど、まだ避難するほどではない。」
「ベテランだから間違えるはずがない。」
このような考え方も、実はバイアスの影響を受けていることがあります。
建設現場では、このような小さな思い込みが事故につながることも少なくありません。
だからこそ大切なのは、バイアスをなくすことではありません。
人間は誰でもバイアスを持っています。
重要なのは、
「今の自分は、何かのバイアスに影響されていないだろうか。」
と一度立ち止まって考えることです。
これは心理学ではメタ認知と呼ばれ、自分の考え方を一歩引いて見つめる力です。
自分の置かれている環境や状況を客観的に見直すことで、思い込みによる判断ミスを減らすことができます。
このブログでは、これから様々なバイアスを、日常生活や建設現場での具体例を交えながら分かりやすく紹介していきます。
「自分にもこんな思い込みがあったのか。」
そう気付くことが、安全への第一歩になるはずです。
バイアスは、人間が効率よく生きるために身につけた「心の仕組み」です。だから、なくすことはできません。しかし、自分がどのようなバイアスの影響を受けているのかを知ることで、一度立ち止まり、より良い判断をすることはできます。安全とは、人を変えることではなく、人を理解することから始まります。