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ワンマン列車で気づいたヒューマンエラーの本質

ブログ

2026.06.11

先日、安全パトロールのため愛知県豊川市へ向かいました。

豊橋駅からJR飯田線に乗り換え、三河一宮駅まで移動したのですが、その際に少し興味深い体験をしました。

JR飯田線の列車はワンマン運転です。

豊橋駅など大きな駅では、全車両のドアは開きます

それ以外の小さな駅では、駅員さんが居ないため運転手さんが確認するため、最前列のドアだけが開きます

「ワンマン列車は前のドアから降りるものだ」

と自然に理解していました。

ところが帰りの三河一宮駅で列車を待っていると、どうも様子がおかしいのです。

よく見ると、乗車する人たちは先頭車両の三つ目のドア付近に並んでいます。

慌てて確認すると、降車は前方ドア、乗車は後方ドアという方式でした。

ホームには小さく「ワンマン乗車口」の表示がありましたが、気づかなければ見落としてしまう程度のものでした。

車内に乗ると、大きな案内表示が掲示されていました。

しかし、ここで私はあることに気づきました。

利用者が必要としているのは、車内に乗ってからの情報ではありません。

「乗る前の情報」なのです。

人は経験から行動する

認知心理学では、人は過去の経験から物事を予測しながら行動すると考えられています。

これをスキーマやメンタルモデルと呼びます。

私は豊橋駅で一度ワンマン列車を利用した経験から、

「ワンマン列車は前から乗り降りする」

という認知モデルを頭の中に作っていました。

そのため、帰りも同じだろうと無意識に判断したのです。

決して注意不足ではありません。

人間として極めて自然な行動だったと言えます。

情報があることと伝わることは違う

今回のケースでは、正しい情報は存在していました。

ホームにも表示があり、車内にはさらに詳しい案内もあります。

しかし問題は、

「必要なタイミングで認識できたか」

という点です。

安全管理でも同じことが起こります。

手順書は作成している。

KY活動も実施している。

朝礼で注意喚起もしている。

それでも事故は発生します。

なぜでしょうか。

それは情報が存在することと、必要な時に認識されることは別だからです。

建設現場でも同じことが起きている

例えば現場内の危険箇所。

管理者は表示を設置しています。

しかし作業員が実際に危険箇所へ近づいた時に気づかなければ意味がありません。

立入禁止表示も同じです。

遠くに看板を立てるだけではなく、作業員が進入しようとする場所に表示する必要があります。

人間は常に考えながら行動しているわけではありません。

多くの場合、過去の経験や習慣を使いながら行動しています。

だからこそ、

「人が間違えないように注意する」

のではなく、

「間違えにくい仕組みを作る」

ことが重要になります。

ヒューマンエラーを責めない

今回の体験を通じて改めて感じたのは、ヒューマンエラーの多くは能力不足や注意不足ではなく、人間の認知特性から生まれているということです。

人は経験から判断する。

思い込みを持つ。

過去の成功体験を利用する。

これは決して悪いことではありません。

むしろ人間が効率よく行動するために必要な能力です。

だからこそ安全管理では、

「なぜ間違えたのか」

ではなく、

「なぜそのように判断したのか」

を考える必要があります。

今回のワンマン列車での出来事は、小さな体験ではありましたが、ヒューマンエラーの本質を改めて考えさせてくれる出来事でした。

安全とは、人に注意を求めることではなく、人が自然に正しく行動できる仕組みを作ることなのだと思います。

今回は、一日で多くの気づきがありました。心理学を学んだ者だからこそ気付くことが出来たと思います。このように心理学は色々な場面で生じた事象を、人間の認知という方向から解き明かすことが出来る学問です。

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