
仏壇のお供えで気づいた、小さなヒューマンエラー
我が家には仏壇があります。毎朝、ごはんとお水をお供えし、入れ替えることが日課です。
ただし、毎朝ごはんを炊くわけではありません。ごはんを炊かない朝は、お水だけを入れ替えます。
今日は朝からごはんを炊いていたため、本来ならごはんとお水の両方を入れ替える日でした。普段であれば、まずごはんを持っていくのですが、なぜか今日は先に水を持っていってしまいました。
原因を考えると、昨日が「ごはんを炊かず、水だけを入れ替えた朝」だったことが関係しているように思います。
昨日の行動が頭の中に残っていたため、今日は条件が変わっていたにもかかわらず、身体が昨日の流れに引っ張られたのです。
これは、ヒューマンエラーの中でもスリップに近いものです。
スリップとは、やるべきことや正しい方法を理解しているにもかかわらず、行動の場面でうっかり違うことをしてしまうエラーです。
今回は、
「今日はごはんを炊いた」
「だから、ごはんもお供えする」
ということは分かっています。
それでも、昨日の「水だけを入れ替える」という行動が残っていたため、最初の動作が水になってしまいました。
人は、同じ行動を繰り返すことで、少ない負担で素早く行動できるようになります。これは悪いことではありません。毎朝の準備、通勤、作業の段取りなど、私たちは多くのことを習慣やルーティンによって行っています。
しかし、そのルーティンには弱点があります。
それは、条件が少し変わったときに、前回までの行動をそのまま続けてしまうことです。
建設現場でも同じようなことが起こります。
たとえば、
- いつもと同じ場所だと思って歩いたが、資材の置き場が変わっていた
- 昨日まで使っていた工具を、そのまま今日も使うつもりで準備した
- 通常の作業手順のまま進めたが、今日は人員や作業条件が違っていた
- 「いつも問題なかった」という感覚で、確認を省略してしまった
こうしたエラーは、知識不足や注意不足だけで起こるのではありません。
むしろ、仕事に慣れている人ほど、行動が自動化されているために起こることがあります。
今回の仏壇での出来事は、誰かに迷惑をかけたわけでもなく、危険につながったわけでもありません。ごはんを持っていく順番が少し変わっただけです。
しかし、このような小さな違和感を見逃さず、「なぜ起きたのだろう」と考えることには意味があります。
大きな事故につながるヒューマンエラーも、最初はこうした小さな取り違えと同じように、前日の記憶、いつもの手順、慣れた行動に引っ張られて起きることがあります。
だからこそ、作業前には一度立ち止まり、
「今日はいつもと何が違うのか」
「昨日のやり方を、そのまま使ってよいのか」
「今から行う作業は、本当に今日の条件に合っているのか」
を確認することが大切です。
ヒューマンエラーをなくすことは簡単ではありません。人は慣れます。忘れます。そして、前回の行動に引っ張られます。
だからこそ、「自分は分かっているから大丈夫」と考えるのではなく、小さなスリップから人の特性を理解することが、安全につながります。
今日の水を先に持っていったという小さな出来事も、ヒューマンエラーを理解するための大切な気づきでした。
まとめ
人はミスを犯します。慣れた作業ほど無意識に進めてしまい、昨日までの行動や思い込みに引っ張られることがあります。
しかし、人は事故を起こすだけの存在ではありません。異常に気づき、立ち止まり、確認し、周囲に声をかけることで、事故の拡大を止めることもできます。
だからこそ大切なのは、「自分は間違えない」と考えることではなく、「人は間違える」という前提に立つことです。
いつもと違う条件はないか。
昨日と同じやり方でよいのか。
次の行動に危険はないか。
その都度確認することが、小さなミスを大きな事故にしないための力になります。
人はミスを犯す。
しかし、人は事故の拡大を止める。
そのためにも、私たちには都度の確認が必要なのです。