
誰にでも起こるラプスというヒューマンエラー
先日、イラストをお願いしているパートナーからLINEがありました。
私と違う目線での失敗を教えてもらっています。
「まつ毛パーマの予約時間を勘違いしていたから、一度家に帰って片付けをします」
予約時間を思い違いしてしまい、せっかく出かけたのに出直しになったとのことです。
実はその少し前、私自身も同じようなことをしていました。
打合せは10時の予定でした。しかし、私は「朝一で」と聞いていた記憶が残っていたため、9時に訪問してしまったのです。
先方から
「濵口さん、10時の予定では」
と言われて、そこで初めて気づきました。
「申し訳ありません。朝一と言っていたので、9時だと勘違いしていました」
幸い、相手の方が時間を作ってくださり、打合せを行うことができました。しかし、本来であれば先方の予定を乱してしまう行動です。小さな勘違いでも、相手の時間を使わせることになります。
これは、ヒューマンエラーの中では「ラプス」に近い事例だと考えられます。
ラプスとは、記憶の抜け落ちや思い違いによって起こるエラーです。正しい情報を聞いていたとしても、別の記憶が強く残っていたり、いつもの習慣に引っ張られたりすると、違う行動を取ってしまうことがあります。
今回で言えば、「朝一」という言葉から「9時」というイメージができてしまい、予定表の10時という正しい情報を確認し直さなかったことが原因です。
まつ毛パーマの予約も、打合せの時間も、誰にでも起こり得る身近な出来事です。
だからこそ大切なのは、「自分は間違えない」と考えることではありません。
予定、集合時間、作業開始時間、搬入時間、作業手順。
重要なことほど、一度覚えたつもりでも、直前に確認することが必要です。
特に現場では、「たぶん○時だった」「いつもこうだから」「朝一と聞いた気がする」といった曖昧な記憶で行動すると、待ち合わせの遅れだけでは済まない場合があります。作業の段取りが狂ったり、他業者との調整に影響したり、場合によっては安全上の問題につながったりします。
人は忘れます。
人は思い違いをします。
そして、人は自分の記憶を意外なほど信じてしまいます。
だからこそ、予定表を見る。
メッセージを読み返す。
相手に確認する。
このひと手間が、ラプスによる小さな混乱を防いでくれます。
今回の出来事は、まさに「あるある」です。
誰しも経験したことがあるからこそ、笑って終わらせるだけではなく、自分の仕事や現場で同じことが起きないかを考えたいものです。
人は間違える。だから確認する。
この基本を、改めて大切にしたいと思います。
参考資料
小松秀徳・杉山大志「リスク認知バイアスの進化心理学的な解釈」では、人の判断は限られた情報処理能力の中で、経験則や直感に頼りやすいことが述べられています。思い違いや記憶違いも、人として自然に起こり得るものです。