
北海道で、レンタカーによる交通事故のニュースが報じられていました。
以前には、レンタカーが線路内に進入し、列車と衝突する事故がありました。そして今回は、レンタカーによる正面衝突事故です。
ニュースでは当初、運転していたのは「外国人」とだけ報じられていました。
その言葉を聞いた瞬間、私の頭には、
「中国人ではないだろうか」
という考えが浮かびました。
もちろん、外国人といっても国籍はさまざまです。中国人とは限りません。また、危険な運転や交通事故は、日本人でも起こします。
頭では分かっています。
それでも、最初に浮かんだのは「中国人ではないか」という予想でした。
その後のニュースで、運転していた人が中国人であることが分かりました。
すると私は、
「やはり中国人だった」
と思ってしまいました。
これこそ、確証バイアスが働く瞬間です。
確証バイアスとは
確証バイアスとは、自分がもともと持っている考えや予想に合う情報を集め、その考えを正しいと思い込みやすくなる心の働きです。
今回の私の場合、
「外国人観光客による危険な運転のニュースでは、中国人が多い」
という印象を以前から持っていました。
そのため、「外国人が運転するレンタカーの事故」と聞いただけで、すぐに中国人を思い浮かべました。
そして、実際に中国人だったと分かると、
「自分の予想は正しかった」
と感じます。
しかし、ここには注意が必要です。
今回の予想が当たったからといって、
「外国人のレンタカー事故は、ほとんど中国人が起こしている」
とは言えません。
本来であれば、国籍別のレンタカー利用者数や事故件数など、全体のデータを確認しなければ判断できないことです。
一つの事例だけで全体を判断すると、偏見につながります。
思い出しやすい情報を多いと感じる
今回の判断には、「利用可能性ヒューリスティック」も関係していると考えられます。
利用可能性ヒューリスティックとは、頭に思い浮かびやすい出来事ほど、実際にも多く発生しているように感じてしまう心の働きです。
外国人観光客による事故の中でも、珍しい事故や大きな事故はニュースで繰り返し報じられます。
特に、線路内への進入や逆走、重大な交通事故などは強く印象に残ります。
一方で、多くの外国人観光客が何事もなく安全に運転していることは、ニュースにはなりません。
私たちは、報道された出来事を見ているのであって、現実のすべてを見ているわけではないのです。
ところが、人の脳は思い出しやすい情報を使って、素早く判断します。
その結果、
「また外国人観光客の事故だ」
「以前も中国人だった」
「今回も中国人ではないか」
という連想が生まれます。
最初に浮かぶ考えは止められない
正直に言えば、私は中国人観光客の一部の行動に対して、良くない印象を持っています。
しかし、それは中国人全体を示すものではありません。
人は一人ひとり違います。
同じ国籍であっても、考え方も行動も異なります。そして、同じような迷惑行為や危険な運転は、日本人の中にもあります。
それでも、「外国人」という言葉を聞いた瞬間に、中国人を思い浮かべてしまいました。
バイアスを勉強していても、最初に浮かぶ考えを完全に止めることは難しいものです。
人の脳は、これまでの経験や記憶を使って、瞬間的に判断するようにできています。
重要なのは、最初に何を思ったかだけではありません。
その後に、
「外国人だからといって、中国人とは限らない」
「一部の事例を全体に当てはめていないか」
「自分に都合のよい情報だけを見ていないか」
と立ち止まることです。
バイアスに気づくことがメタ認知
今回、私は自分の中に「中国人ではないか」という考えが浮かんだことに気づきました。
そして、
「これは自分の持っている印象に引っ張られているのではないか」
と、もう一人の自分が考えていました。
これがメタ認知です。
メタ認知とは、自分の考え方や感情を、一歩離れたところから見つめることです。
確証バイアスに陥らない人になることは、簡単ではありません。
むしろ、人である以上、誰もが何らかのバイアスを持っています。
大切なのは、バイアスをなくすことではありません。
「今、自分は偏った見方をしているかもしれない」
と気づくことです。
今回、私の予想は結果として当たりました。
しかし、予想が当たったことと、自分の判断方法が正しかったことは別の問題です。
一度予想が当たると、次からはさらにその考えを強く信じるようになります。
だからこそ、「やはりそうだった」で終わらせず、自分の考え方を振り返る必要があります。
人間は、確証バイアスから完全に逃れることはできません。
しかし、バイアスが働いた瞬間に立ち止まることはできます。
Stop、Look、Think。
いったん止まり、自分の考えを見つめ、もう一度考える。
バイアスを知ることは、他人の間違いを指摘するためではありません。
自分自身の判断を見直すためにあるのです。
人間はバイアスをなくすことはできません。
大切なのは、バイアスが働いた瞬間に「今、自分は偏った見方をしているかもしれない」と気付くことです。
これがメタ認知です。
今後も、私自身の体験から心理学を深堀していきます。