
「またやってしまった。」
今日は安全パトロールを予定していました。
いつもの流れは決まっています。
担当者から送られてくる工程表を確認し、その内容からパトロールする現場を決定します。
そして、
- 担当者
- 部長
- 実施予定の現場所長
へ連絡を入れる。
ここまでが一連のルーティンです。
ところが今回は、その最後の「現場所長への連絡」を忘れていました。
午前中に気付き、慌てて電話をすると、
「今日は軽作業だけです。」
との返答。
結果として、午後の安全パトロールは中止になりました。
もし最初にきちんと連絡していれば、
「今日は軽作業なので別の現場へお願いします。」
という連絡を事前にもらえたはずです。
つまり、私のラプス(記憶の抜け落ち)が、一つの判断機会を失わせてしまいました。
ラプスとは「忘れること」
ヒューマンエラーの中でもラプスとは、
「やるべきことを知っていたのに、うっかり忘れてしまうエラー」
です。
知識が足りなかったわけではありません。
手順も分かっていました。
それでも抜けてしまう。
これがラプスです。
人は毎日、多くの仕事を抱えています。
頭の中には次々と情報が入り、一つ終われば次の仕事へ移ります。
その途中で、一つの作業だけがポロッと抜け落ちる。
これは誰にでも起こります。
認知心理学では、私たちのワーキングメモリには限界があり、注意を向け続けることにも限界があることが知られています。だからこそ、ラプスは能力の問題ではなく、人間の認知特性として起こるヒューマンエラーなのです。
専門家でもミスをする
私は安全コンサルタントとして、日頃からヒューマンエラーについて講義をしています。
それでもミスをします。
むしろ、だからこそ思います。
「人はミスをする。」
この前提に立つことが、安全管理の第一歩です。
「私は大丈夫。」
「忘れるはずがない。」
そう考えた瞬間に、次のラプスは待っています。
災害時でも、「自分だけは大丈夫」と思って危険を過小評価してしまう認知の偏りがあり、これは正常性バイアスや楽観性バイアスとして知られています。まず「自分にも起こり得る」と認識することが、適切な行動につながります。
ラプスを防ぐ方法
ラプスはゼロにはできません。
だから私は、毎回この失敗を教材にしています。
- チェックリストを使う
- ルーティンを見える化する
- 送信・連絡が終わるまで次の仕事に移らない
- Stop・Look・Thinkで一度立ち止まる
人はミスをします。
しかし、人はそのミスから学び、仕組みを改善することもできます。
今回のラプスのおかげで、私自身もまた一つ学びました。
「やはり、私も人間ですね。」
だからこそ、今日もメタ認知を働かせながら、自分自身のヒューマンエラーと向き合っていきたいと思います。